Y君とT君とN君

小学生のころ よく近所のY君という子と遊んでいた時期がありました。
Y君はお婆ちゃんとお母さんと 古くて 中が散らかった家に住んでいました。

Y君の家には漫画やゲームが沢山あって、僕はよく漫画を読みに行ったりゲームをしに行ったりしていました。
お婆ちゃんとお母さんは「Yと遊んでくれてありがとうね」って言ってジュースをくれました。

Y君はゲームに負けると「なんで勝つんだよ!帰れよ!」と理不尽に癇癪を起こし喚き散らすため
僕を含め 友人数名はワザと負けていました。

そんな状態がしばらく続き Y君が煩わしくなった僕らはY君と遊ばなくなりました。
するとY君はよく嘘もつくようになりました。

どんなウソだったか思い返してみると こんな嘘がありました。

ビバリウムが開発した育成シミュレーションゲーム「SEAMAN(シーマン)」について

Y君曰く、どうやらシーマンが知るはずもないY君の情報を喋りだすのだという事です。

「今日○○(TV番組)見てたやろ?どうやった?そういえばそんとき食べとったケーキ俺にも残しておけよな」などという事をシーマンが話しかけてくるということでした。

当時僕は嘘だとか 真実だとかを断定する能力はなかったものの
「そんなわけないやんけ・・・そんなん嘘やろ。え?」ってモヤモヤしていたのを思い出します。

今 シーマンについて調べてみました。

ゲームの最大の特徴は、コントローラにマイクデバイスと呼ばれる装置を装着、或いはマイクを内蔵したコントローラ(シーマイクコントローラ)を接続し、簡単な音声認識をすることである。呼びかけるとやって来たり返事をしたり、プレイヤーの年齢や性別、職業などを覚えたりするが、認識率が余り良くなく、間違った情報を受け入れるなど問題も多かった。

とある。
ということは やはりシーマンが流暢なコミュニケーションを人間ととるという事は非常に考えにくいんですよね。

Y君は僕らと遊ぶ事があまりなくなり、
どこで知り合ったのか近所の公園で大人たちとミニ四駆をして遊ぶようになりました。

それから僕はY君と疎遠になりそれっきり。




高校生の時にも 同様に不思議な事をいうやつがいました。
T君と言います。
彼はよく 逆ナンをされたり ヤンキーに絡まれて返り討ちにしたり という武勇伝を週一くらいで語っていました。
しかし彼はそれほどカッコよくないのです。
そしてワキガでした。
逆ナンをされたり ヤンキーに絡まれて返り討ちにしたりというイベントが度々起こるとは考えにくい九州の片田舎で、かつ T君自身それほど 淫乱痴女受けするとは考えにくい容姿をしていたにも関わらず彼には絶えず武勇伝が付きまといました。

「この間バスターミナルのトイレで小便をしているとヤンキー3人にケツポケットに入った財布を抜かれたから3人まとめてボコボコにしてやった。」
「ほう、それは興味の尽きない話だねぇ。どうやったんだい。」
「まずはセカンドバックを放り投げてバックをガードしたヤンキーに胴回し書いて蹴りをみまって…etc」

といった感じでした。

ある日、彼は「これが俺の彼女だ」といい見せていたプリクラの写メがセブンティーンという雑誌の投稿プリクラと同一である事をクラスで晒され、卒業まで干されることとなるのですが
大学に行っても社会人になった現在も 高校時代以上のライヤーっぷりを発揮しているこということで同窓会等では話のタネになっております。


大学時代にもY君やT君のようなN君がいました。

おそらくライヤーという生き物はどの地域にもどの世代にも一定数いるんでしょう。
そして僕の経験上、彼らは自分を凄く見せようとしたり、自分に興味関心を持ってもらうために、嘘をついているような気がします。


彼らが今どこでどういう人生を送っているか ふと考えてしまいました。

ただそれだけです。
おやすみなさい。